福じいさんの野菜 / 福重 龍さん

土に徹底してこだわり、
自分たちが心からおいしいと思える野菜を、ハウスと路地の両方で栽培しています。 福じいさんの野菜 / 福重 龍さん

手入れの行き届いた美しい畑で
つくられる多品目の減農薬野菜

福重龍さんの父・正直さんが、当時勤めていた三重県の菓子工場を辞めて故郷の宮崎県に戻り、自分が本当においしいと思う野菜をつくる生産者になる決意をしたのが、2004年のこと。拠点は同じ宮崎県内でも、生まれ育った地ではなく、自分の目指す農業形態を町全体で推進している綾町に決めました。なぜなら、昔から町を上げて無農薬や有機肥料栽培など、安全で安心な野菜づくりを進めてきた地域だったから。1年後には息子の龍さんが加わって「福じいさんの野菜」というブランドを掲げ、さらに5年後には龍さんの弟の太陽さんも加わって、以来3人で「味にこだわったおいしい野菜」の生産を続けています。百姓隊との付き合いも古く、発足当初から現在まで変わらず百姓隊生産者チームの中心的な存在となっています。福重さんの畑を訪れた人が一様に驚くのが、その整然とした美しさ。丁寧に手入れされた畑の中で、競うように空に向かって葉を伸ばす元気な作物の姿が印象に残ります。

「本当は無農薬を貫きたいのですが、やはり虫食いがあったりすると、出荷できないものが増えてしまうので、今は時期によって必要最低限の農薬を使うようにしています。うちはハウスと路地の両方をやっていて、自分がハウスを担当し、弟が路地を担当しています。全部で10種類くらいの野菜をつくっているので、作物ごとに担当を決めています。ハウスで栽培しているのは、おもに、水菜、小松菜、ほうれん草です。うちの信条は“おいしい野菜をつくる”ことなので、何より土づくりにはこだわります。牛フン、鶏フン、豚フンをブレンドした堆肥を中心にしながら、ほかに、きのこを栽培したあとの木くずや藁などの有機物を混ぜて、土を柔らかくふかふかに保つことを心がけています。そうすることで野菜の根の張りがよくなり、野菜がおいしくなるんです」

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農家としての想いを込めた
「福じいさん」のブランド名

──「福じいさん」というブランドの由来は?

「一応、親父をイメージした言葉なのですが、このこの名前は農家を始めて2年くらい、今から10年ほど前に考えました。自分たちのつくった野菜をもっとアピールして売りたいという想いからいろいろと名前を考えまして。結果的には、親しみやすいものがいいよと言われたことと、当時はまだ素人同然でしたが、名前だけでも“ベテラン感”を演出しようと(笑)、この名前になりました。この名をつけたお陰で、いろいろな業者さんに声をかけてもらえるようになりましたし、自分たち自身の、よりよい野菜を届けることへの責任感も格段に強まりましたので、あの時期にこの名にしてよかったと思っています」

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たくさんの人たちから“おいしい”
と思ってもらえるように

──あらためて今、生産者として目指していることはどんなことですか。

「とにかく味にこだわったおいしい野菜を届けることです。じゃあ、おいしい野菜って何?というと、その定義はなかなか難しいのですが…。たとえば、うちの親父はトマトが大好きで、農業を始めたきっかけもまさにそれなんですが、トマトでいえば、甘いだけじゃなく、酸味もしっかりある昔ながらのトマトの味を目指しています。一方で葉物は、えぐみが少なくてうまみのある、食べやすいものを目指してつくっています。そういう、自分たちがおいしいと思う野菜をたくさんつくって、それをたくさんの人に食べてもらい、たくさんの人からおいしいと思ってもらえたら、それこそがおいしい野菜なのだと思います。今後も規模を拡大して、自分たちがおいしいと思う野菜をより多くの人に届けていきたいです」

終始穏やかな笑顔で取材に応じてくれた龍さん。実直さがにじみ出るていねいな受け答えが、そのまま「福じいさんの野菜」の滋味深い味わいに重なります。

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profile

福重 龍、太陽

栽培品目:小松菜

「自分で種をまいて、つくって、収穫して、それを販売できることが何よりも楽しい」という龍さん。「コントロールできない気候の変化への対応はとても大変だけれど、反面それが農業の魅力でもある」と笑顔で語ります。龍さん担当のハウスでは、おもに水菜、小松菜、ほうれん草を、弟の太陽さん担当の路地では、キャベツ、レタス、ブロッコリー、白ネギなどを栽培。父の正直さんは今年は大根などを担当。