くすみトマト農園 / 久須美 剣さん

最先端のIoTの技術を取り入れ、
作物にストレスのかからない環境で
うまみのあるトマトをつくっています。 くすみトマト農園 / 久須美 剣さん

スマホでハウス環境の操作ができる、
最先端のハイテク農園

久須美剣さんが宮崎市内で営むトマト農園は、先端のIoTの技術を取り入れたいわゆる「スマート農園」です。ハウスにかかわるものほぼすべてがコンピュータのネットワークでつながり、それぞれの機械が連携して動いています。ハウス内の環境はデータ化されドコモのワイファイ回線をつかって久須美さんに送られ、久須美さんは遠隔からハウス内の状況を確認し、必要があればスマホを使って温度を上げたり窓を開放したりという操作を行うこともできます。まさに現代ならではのハイテク農園!これらをフルに活かし、久須美さんは自分の求める「甘いだけじゃない、うまみのある」トマトづくりに精を出しています。

──久須美さんは東京都出身。宮崎県で就農してまだわずか5年目と言います。なぜ宮崎で農業を始めることになったのですか?

「両親が建築関係の仕事をしていたので、最初は建築関係の仕事をしてましたが、家族の介護が必要になったのを機に福祉関係の仕事に就いたんです。やがて介護の仕事をする必要がなくなったので、今度は、自分のやりたいことをやってみようかと。昔から、自分で何かをつくって売り、お客さんから直接評価をもらうという働き方をしたかったので、農業はそれに近いかなと思いまして。それで、都内の就農相談会などに顔を出すうち、宮崎から来ていた農業振興公社の方に誘われまして。その方がとても信頼がおける印象だったことで、場所を宮崎に決めました。あらためて調べてみると、宮崎は“日本の日向”というくらいで、冬場の日照量がとても多い土地なんです。雪もほとんど降らないし、これは、作物をつくるうえでメリットになるだろうと確信しました。ただ、もちろん始めるまでには時間をかけました。本当に農業を始めて収益を出せるのかを見極めたり、あとは、妻の説得にも時間をかけましたね(笑)。本格的に移住するまでに2年ほどかけました。

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甘いトマトではなく、
甘くてうまみもあるトマトをつくる

──トマトを作ることにした理由はなんですか。

「宮崎にきて1年間は研修施設でいろいろと教わったのですが、そこで教えてくれるのが、キュウリ、トマト、ピーマンとほぼ決まっていたんです。その中でトマトは、赤くて丸い実が房になるのが魅力的だったし、品質や味で勝負できる野菜だと思ったんですね。妻もトマトならといってくれたので。今は「こすず」のCFという種類をつくっています。実はそんなに大きくならないのですが、食味がいいのが特徴です。僕がつくりたいのは、スイーツに使われる甘いトマトではなくて、家庭やレストランで“うまい”といってもらえるトマトなので、トマトに極力ストレスをかけない育て方を選んで実践しています。トマトが求める育ちやすい環境にしてやると、トマトが元気になって病気になりにくくなり、農薬も半分で済むし、味も当然よくなります。始めた当初は、センサーでハウス内の環境をはかって、自分で各機器を動かしていたんですが、よりきめ細かく動かすためにコンピュータを導入し始め、ここ1年くらいで現在の環境が整いました。トマトに限りませんが、農業は何かひとつミスがあると取り返しがつかなくなることが多いんです。だから、ハウス内の様子をつねに把握することができるということはとても重要ですし、それだけでとても安心感があります」

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栽培データは市や大学へも提供。
宮崎への恩返しの気持ちで

──百姓隊の谷口さんともIoT関係のセミナーがきっかけで知り合ったそうですね。

「そうなんです。僕は、IoTをつかった農法をしているので、宮崎大学や市から求めがあれば、データを積極的に提供しているんです。なんというか…移住者として宮崎に恩返しをしたいという気持ちもありまして。それで、宮崎大学のIoT関連のセミナーなどにも参加していて、そこで知り合った人とのつながりで百姓隊の谷口さんと出会いました。初めて会ったとき、経営者としての考え方などを短い時間だけどお話しできて、そのときの自分の悩みが少し解決したんですね。それから交流が始まりました。今後は百姓隊の生産者チームの一員としても貢献していければと思っています」

信念の強さを感じさせる受け応えのなかで、自らが信頼を寄せる人物の話になると途端に情に満ちた表情になるのが印象的だった久須美さん。先端の農法に取り組む熱い情熱と探究心が、さらに“うまいトマト”の味を育んでいきます。

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profile

久須美 剣

栽培品目:トマト

ハウスを2つに分けているのは、「栽培面積が小さいほうが品質にばらつきがでにくく、いいものが作りやすいため」と久須美さん。品質に影響のない程度にハウスごとに少しずつ生育環境を変えて、理想の“うまいトマト”を作るための栽培方法の研究にも余念がない日々です。