冨田 耕作さん

食卓に上がるとほっとする、
味わいやさしい和の根菜。
葉っぱまでおいしくできています。 冨田 耕作さん

地域を代表する作物
カブの安定生産をお約束

一お父様の代まで冬場はずっとカブを専門にされていたそうですが、なぜダイコンも始めたのですか?

冨田さん「畑が空いてましたので(笑)。本当はいい仲間に恵まれたからです。刺激をうけて、何か自分の代でも新しいことをしてみようと思って始めました」

一同じ白い根菜だから、作り方も同じなのでしょうか?

冨田さん「カブとダイコンの作り方は全然違いますね。カブは根菜といっても地面に埋まっているわけではなく土の上に乗っている状態なので、強い風が吹いたら倒れてしまいます。11月の気温が下がる頃にはトンネル状に網をかけ、気温の低い時にはその上から更にビニールで覆ってやります。日中は蒸れないように換気してやるなど手をかけてやることによって、丸々としたきれいなカブに育ちます。これをだいたい11月から3月いっぱい収穫できるように、畑によって種をまく時期をずらしているんです。ダイコンも同じく畑によって時期をずらして種をまき、10月から6月いっぱい収穫できるようにしています。早い時期に作付けした畑は寒くなる頃にはもう地面の中でダイコンが育っていますから、最後まで路地のままで育てます。この時期のダイコンは寒さから身を守るために糖度を増して、肉質もぎゅっと引き締まって、一段とおいしくなります

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寒気に耐えて甘さを増した
純白のすずな、すずしろ

一いま作られている品種やその特徴、上手な選び方などありましたら教えてください。

冨田さん「近年は種苗会社から新しい品種がたくさん出ていますので、育成時期にふさわしい品種を選び、毎年いろいろと作っています。たとえば今年露地栽培用に作っているダイコンは『冬峰』といって寒さに強く、火を通すととろけるように柔らかくおいしくなる品種です。寒さにあたりながらじわじわとゆっくり育ち、春先3月4月に採れるものは水に沈むんですよ。それだけ密度が濃いということです。そういうダイコンはどんな調理法でもおいしく召し上がっていただけると思います。土の上に出ている部分は甘みが強く、下になるほど辛くなるという特性がありますので、上の方は煮物に、下の方は大根おろしにするなど使い分けしていただくと、よりおいしく召し上がっていただけるかもしれませんね。カブは田舎の人は大玉を好み、都会の人は小ぶりなものを好む傾向があるようです。味的には変わりませんので、大きさはお好みに応じて。真っ白でハリのある形の良いものを選ばれるといいと思います」

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良いものを作り新鮮にお届けする
その価値を広げるために

一栽培する上で気をつけていることはなんですか。

冨田さん「千葉県はカブの生産日本一。なかでもこの畑のある大間手と隣町の東庄はトップクラスの生産地で、多くの農家が代々カブを作ってきました。私も父親から栽培のコツはいろいろと聞きながらやっていますが、カブもダイコンも最も気を使うのはタイミングですかね。施肥や寒さに対する手段など、あらゆるタイミング。そして鮮度がだいじですから、旬を逃さず収穫し、出荷できる体制を整えることです

いま日本の農業はさまざまな問題を抱えています。10円20円の違いで、とにかく安い方が売れるという価値観だけでなく、地域とか生産者とか、いかに良いものを新鮮に食べていただけるか、そういう点で判断されて選ばれたいと話してくれました。

冨田さん「そのために一生懸命作っているわけですし、また、これから農業を目指す若者たちのためにも、そういうフィールドを用意してあげたい。農業を夢のもてる産業にするために、やる気のある子が参入しやすい環境を整えていくことも、これからの自分の課題だと思っています」

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profile

冨田 耕作

栽培品目:ダイコン、カブ

他にやることもないので家業を継いだと冗談を言いながらも、実のところは名前に込められた親の期待、先祖の期待をしっかりと受け止めている専業農家の14代目。これから日本の農業を背負って立つ人のために少しでも状況を良くしていきたいという思いがあり、新規就農者への技術指導にも力をいれている。