山下 栄子さん

トマトベリーは、
皮が薄くて甘みがたっぷり。
形も可愛いので人気がありますよ。 山下 栄子さん

うちのミニトマトは、甘くて味が濃いのが自慢です。

温暖な気候で知られる和歌山県の北部に位置する紀の川市は、北と南の両側を山地が囲み、その間を市の名前にもなっている清流・紀の川が流れる、自然豊かな地域です。この地で20年に渡りハウス農園でミニトマトづくりを続けているのが、山下栄子さん。今やミニトマトの定番となった人気のアイコに加え、トマトベリーという、ハート型の形状が愛らしく非常に糖度の高い、フルーツ感覚で楽しめるミニトマトも5年ほど前から栽培しています。県外からもわざわざ買い付けにくる人もいるほどの味の濃さが、山下さんのミニトマトの何よりもの自慢です。

「トマトベリーは初めて5年くらいになりますが、これはまだあまり栽培している人がいない、新しい品種です。和歌山県でも栽培しているのは3軒くらいだと思いますよ。うちもまだそれほど収穫量は多くないけれど、よく実がなるし、皮が薄くて味もいい。形も可愛いので、人気があります。とても生育が旺盛な種で、けっこう手間がかかるのですが、その分やりがいがあります。うちのミニトマトは皆さんに甘くて味が濃いといっていただけるんですけど、とくにトマトベリーは糖度が9度以上、この前測ったら10度~11度もありました。アイコのほうも、糖度が8度以上あります。味が乗っていますので、できるだけトマトそのままの味を楽しんでいただけたらいいなと思います」

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肥料はすべて有機にこだわって栽培しています。

──とくに土づくりにはこだわっているそうですね。

「そうです。昔から土づくりにはこだわってきました。うちは肥料もオール有機でやっています。堆肥に加えて、肥料もいい塩梅にいろいろと混ぜてね。とうもろこしを灰にしたカリをつかったり、それと、収穫が終わったトマトの木もね、肥料にします。夏、ハウスを密閉して土を太陽熱で消毒するんですが、そのときに木を細かく刻んで水を入れて腐らせたものを、土にすきこんでいるんです。栄養にもなるし、土の中に混ぜ込むと根が酸素不足にならずに生育がいいんですよ。私は、これが大いにミニトマトの甘さを引き出していると思ってるんです。冬は冬でね、トマトの木を寒さで傷めないように、うちのハウスでは温度を高めに設定しています。重油をつかって暖房するんですが、これがもうね、びっくりするほどお金がかかるんですよ(笑)。でも、うちのトマトの味を楽しみにしてくださる方のことを思い浮かべて、冬も温度を保っておいしい実をつける状態を維持しています」

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70歳になるまでは、
主人と競争しながらつくっていたんですよ。

──昨年からハウスの作付け面積を半分にされたそうですね。

そうなんですよ。私も70歳になったので、病気して倒れないうちにということで、泣く泣くそうしました。それまでの20年間は、私と主人で持ち場を決めてね、それぞれ完全に別個で栽培して、出荷もすべて別々にしてたんです。競争してたんですよ(笑)。珍しいと言われたけれど、自分の持ち場で1から10まで作業できれば、ロスなく品質管理を徹底できますから。どちらの味がよりよかったか? それはまあ、甲乙つけがたい出来でしたと言っておきしょう(笑)。今は2人で作業を分担して仲良く一緒につくっています。作付けを減らしたのは残念けれど、ミニトマトづくりはまだまだやりたいので、これからも甘くておいしいミニトマトをつくっていきますよ」

作付け面積は半分になっても、ミニトマトづくりに注ぐ山下さんの情熱はまったく衰えるところを知らないようです。山下さんが手塩にかけて育てるミニトマトは、山下さんの明るい笑顔に応えるように甘みを自らの中にぎゅっと蓄え、赤く赤く色づいていきます。

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profile

山下 栄子

栽培品目:ミニトマト

「ミニトマトの味は、土と肥料、そして日照のバランスで決まるんです。なので、追い肥料もきちんと与えて、味がずっと乗るように心がけていますよ」と山下さん。毎年8月に定植して、10月には収穫を始めますが、とくにおいしいのは12月以降とのこと。「12月以降は、ずっと夏までおいしいですよ。とくに4月に入ってあたたかくなるとよりおいしさが増します。甘いトマトの味を楽しんでください」