栗山 敏宏さん

オレンジ色で濃い食味の「不知火」と
黄色で爽やかな甘味の「はるか」。
それぞれの風味をどうぞお楽しみください。 栗山 敏宏さん

とくに関東の都市部で人気のある「はるか」

和歌山県の有田といえば、温州みかんの全国的なブランド「有田みかん」の産地として知られる地。海岸地帯から標高300m近くの高台まで、見渡す限り広がるみかんの段々畑が有田のトレードマークです。この地で祖父の代からみかん農家を続けているのが栗山敏宏さん。温州みかんづくりの傍らで、「不知火」と「はるか」の栽培にも力を入れています。「不知火」とは、通称デコポンとして知られる、濃いオレンジ色をした、甘くて濃い食味で老若男女に人気の種。一方の「はるか」は、黄色くて非常に堅い外果皮を持ち、その皮を剥いた途端に広がる爽やかな香りとすっきりした品のある甘味で、近年女性を中心に人気が高まっている種です。

「『はるか』はつくり始めて8年くらいです。全国でもつくっている人はそんなにいなくて、有田でもおそらく5軒くらいだと思います。『はるか』は、果皮がすごく堅いんです。手ではちょっとむきにくいので、果皮はナイフでむいていただくといいと思います。『はるか』は、関東の、東京近郊に好まれる方がけっこう多くて、人気があります。皮をむいた途端に、爽やかな香りがぱーっと広がって、果実も酸味の少ない、上品な甘さがあるので、春から夏にかけての時期にさっぱりとおいしく食べていただけると思います。栽培にはそれほど手間はかからないんですけど、『はるか』は木に鋭利な、針のようなトゲがあるんです。で、風が吹いたりすると、実が揺れて自分のトゲで傷ついてしまったりするので、そこが気をつかうところですね」

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段々畑の環境が生む昼夜の温度差が、おいしい柑橘をつくる

──「不知火」の栽培はいかがですか。

『不知火』は、夏場の水やりが欠かせないので、その分、手間がかかりますね。私自身は斜面での仕事はあまり苦にはならないけれど、とにかく日当たりがよいところでつくるので、夏の暑さは本当にたいへんです。でも、この段々畑がおいしい柑橘類をつくるんですよね。夏をすぎて秋が始まるころに、夜と昼の温度差があればあるほど、おいしい柑橘ができます。段々畑は、昼は日当たりがよいので温度が上がり、夜は風が通りやすく温度が下がるんです。木に与える水については、うちでは、ミネラルを豊富に含む海洋深層水を使用しています。ミネラルを与えはじめてから、年々味がよくなっているし、糖度も上がっているので、よい味をつくるひとつの要因になっていると思い、続けています」

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「今年も待ってる」と
また言っていただくことを励みにして。

──段々畑は、人間にはたいへんでも、おいしい柑橘づくりのためには欠かせない環境なんですね。

「そうなんです。ですので、今年の夏もまたがんばらないと。じつは、私はみかんづくりを始めて20年以上になるのですが、20代のころはいやいやでしょうがなかったんです(笑)。やっぱりしんどい仕事も多いのでね。でも、自分でいろいろな販売先を開拓していくうち、たくさんの方々との出会いがあり、『おたくのみかんはすごくおいしいから、今年も待ってる』と言ってもらうと、本当にうれしくて。より多くの方にそんなふうに言っていただけるように、今年の夏もまたがんばっておいしいみかんづくりに励もうと思います」

まるで『はるか』の味と香りを思わせるような、爽やかな笑顔を湛えて取材に応じてくれた山下さん。このフレッシュファーストを通じて、新たなお客さまとの出会いが広がる期待に胸を弾ませ、今日も柑橘の段々畑へと向かいます。

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栗山 敏宏

栽培品目:柑橘類

「うちでは、『不知火』は2月ごろが収穫のピークとなり、だいたい2月から4月ごろまでが食べごろになります。『はるか』もほぼ同じくらいに収穫を始め、4月から5月が食べごろです」と栗山さん。昨年の台風の影響を受け今回は出荷できませんが、栗山さんが栽培する「清見オレンジ」も好評だそう。「こちらも、機会があればぜひ皆さんにお届けしたいと思っています」

(「デコポン」の名称は熊本県果実農業協同組合連合会が商標登録をしており、糖度が13以上、酸が1%以下の「不知火」を「デコポン」の名称で呼ぶことができます。栗山さんの「不知火」は「デコポン」と同等の品質ですが、個人出荷のため光センターを使った品質検査が難しいため、ここでは「不知火」とご紹介します)